カテゴリ:展覧会( 23 )
─水差しを持つ女─ ニューヨーク メトロポリタン美術館収蔵
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右下の赤いテーブルクロスが思いのほか明るく描かれているのが意外だった。
左上の、いつもの漆喰の壁に朝日によるハイライト部を配置し、その対比・対角
として右下はシャドウの要素を与えられているのだと思っていたが、
これは勝手な想像、思い込みだったようだ。

オランダ絵画にこの表現は合うのか微妙だが壁に掛けられた地図を下に引っ張る
風鎮、そして椅子の背もたれの飾り部。
どちらも女性の輪郭からわずかに離されており、緊張感を高める・絵柄をぐっと
引き締める効果があるように思う。

そして中心に描かれた女性のボネット(頭巾)に淡く投影された透過光と影。
ボネットは背景の漆喰の壁とは異なる白色で描かれ、その白さゆえに一般的な
庶民の生活の一瞬とは言えとても崇高な行為を表現しているように感じる。
そして絵に向かってやや右に傾いているこの女性の姿勢。
水差しを持ち上げようと力を入れる瞬間なのか、それとも持ち上げていた
水差しを今まさにたらいの上に戻す瞬間なのか。
こうして静と動を同居させているように見える。



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解説書によるとボネットに透過光と影がこの角度を保つのは10分未満。
恐ろしいほどの手際の良さでスケッチしたのか、それとも一瞬の
光と影を脳裏に刻み込み、それを模写するかのようにキャンバス上に
表現したのだろうか。

窓をつかむ右手は女性らしい華奢な腕とそこに当たる光と影を正確に
表現し、くっきりでも淡くでもない優しい輪郭線で背景の漆喰の壁から
浮遊している。

水差し、刺しゅう箱、壁の地図と寓意を想像させる物が描き込まれており
それぞれを丁寧にすくい上げれば絵に込められた絵描きさんの様々な思いが
くみ取れるのだろうが日常性、普遍性、庶民の当たり前の日常を忠実に
描かれた事の方が余程の説得力を見るものに与えているように思う。




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そしてたらいに反射するテーブルクロスにも手抜きのない細密な描写、表現が
与えられているが、決して表現の技巧に埋没することなく、嫌み無く
まとめあげられたこの作品。
やはり見るものをとても引き付ける。

神は細部に宿る───神様は大きなお祭りなど望んでおられず、ふとした
当たり前の日常の中に存在する真摯な信仰こそ尊ばれる───
王家を頂点とする貴族社会の不在、偶像を尊ぶことを良しとしないプロテスタント、
市民社会オランダ。
日常性、普遍性を表現した絵画が色あせない魅力の理由だと思う。



”天秤を持つ女”が見たい。
この絵もアメリカか・・・。


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2015年12月25日 京都市美術館にて
PENTAX K-5
DA 1:3.5-5.6 16-85mm
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by jpn2282 | 2016-07-17 16:08 | 展覧会 | Trackback(1) | Comments(0)
ルーブル美術館展-京都市美術館-その3
ルーブル美術館展-京都市美術館-その1 はこちら
ルーブル美術館展-京都市美術館-その2 はこちら

たっぷり堪能した後は次の目的地に。
向かう前にそうそう、美術館内を少し撮っておくか。
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ん?
?????
?????
えぇぇぇぇ!!!!!
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フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち‐世界劇場の女性‐ はこちら
《水差しを持つ女》初来日
会期:2015年10月24日(土)~2016年1月5日(火)

すごいな、京都市美術館。
間髪入れずにまた。
しかも日本初公開。

どれどれ、青春18きっぷはと・・・。
 2015年冬季
 ・発売期間 12月1日から12月31日
 ・利用期間 12月10日から1月10日

行けるやん。
また一つ楽しみが。

京都市左京区 京都市美術館にて

PENTAX K-5
DA 1:3.5-5.6 16-85mm
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by jpn2282 | 2015-09-07 23:56 | 展覧会 | Trackback(3) | Comments(2)
ルーブル美術館展-京都市美術館-その2
ルーブル美術館展-京都市美術館-その1 はこちら

いつも通り、入館後いきなり奥へ奥へ。
そして真っ先にご対面。

ヨハネス・フェルメール作 《天文学者》
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写真は2012年8月19日、フェルメール・センター銀座で撮影

見た瞬間に「あぁ、これは違う絵だな」と感じた。
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by jpn2282 | 2015-09-05 22:22 | 展覧会 | Trackback(1) | Comments(6)
ルーブル美術館展-京都市美術館-その1
2015年9月4日(金)。
有給休暇取得。
04:20 起床。目覚ましに10分勝った!
05:25 定刻どおり車中の人に。今日は1日乗り放題。
    窓から景色を眺めたり本を読んだり居眠りしたり。
08:42 京都駅到着。
08:50 出発直前のバスに飛び乗り、岡崎公園・美術館へ
09:25 入館

電車の中で思ったほど眠れなかったけどここまで来ると
テンションが上がって元気いっぱいに。

京都市美術館 ルーヴル美術館展 日常を描く―風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄
いよいよ。

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京都市下京区 JR京都駅にて


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京都市左京区 京都市美術館にて

PENTAX K-5
DA 1:3.5-5.6 16-85mm
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by jpn2282 | 2015-09-04 23:56 | 展覧会 | Trackback | Comments(4)
農民画家とエスカレーター
2014年7月26日(金)
陸運支局で納税証明書を受け取った後は車を置いて電車で名古屋市へ。

金山駅前の名古屋ボストン美術館に到着。
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ミレー展を見てきた。
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驚いたのは作品の多さ。
一番好きなヨハネス・フェルメール(寡作の人)と大違い。
多作の絵描きさんだったのだなぁと感心した。
農民画家と呼ばれるのも分かる。
どの絵も大地の色が背景に据え置かれている。
敬虔、清貧という言葉がぴったり似合いそうな絵の数々だった。

一番見たい「晩鐘」が今、東京に来ているそうなので近いうち時間を作って見に行こう。

美術館を出た所のエスカレーター。
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何故か心を引かれる最近お気に入りの被写体。
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愛知県名古屋市 名古屋ボストン美術館にて
PENTAX K-5
DA 1:4 16-45mm
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by jpn2282 | 2014-08-03 16:33 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)
勤労者美術展:2014年1月26日
先週撮影。
美術展に行ってきた。
愛知芸術文化センターの館内に降り注ぐ西日が
とてもいい雰囲気で、たくさん撮影出来た。

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第31回愛知県勤労者美術展
愛知県美術館ギャラリー
(愛知芸術文化センター8F)にて

今年はミレーの晩鐘を見に行こう。

PENTAX K-5
DA 1:4 16-45mm
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by jpn2282 | 2014-02-01 23:15 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)
歓待
2012年12月13日(木)の続き。

神戸市博物館、入館は11時30分、退館は15時09分。都合3時間半強居座った。
ここの博物館、良くできたもので2階に喫茶室があった。長時間立ちっぱなしで
凝視していたので膝と腰がひどく疲れたのだが13時過ぎに一度喫茶室に退避し、
コーヒーとマロンケーキで血糖値を上げつつ休息を取ることが出来た。
2年前だったら血中ニコチン濃度を一定値に保つため喫煙所を探して館内を
さまよっていただろうが禁煙から2年。今のところ続いており、おろおろする
必要は無かった。

驚いたのは博物館のエントランス。
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入館券を購入して最初に足を踏み入れるのだがそこに大きなあの少女と小部屋?に
入った額縁が。
どうやらそのなかに入って外から写真を撮ってもらえという主旨らしい。
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昨年からいくつか美術館を巡っているが、写真を撮影することを前提にして
いるのは初めてお目にかかった。
おもてなしの心だろうか、歓待を受けているような気分がとても良かった。
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兵庫県神戸市中央区 神戸市博物館にて
PENTAX *ist D
DA 1:4 16-45mm
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by jpn2282 | 2012-12-19 23:54 | 展覧会 | Trackback | Comments(4)
邂逅
2012年12月13日(木)。
たまった有休を取得。
朝からのぞみに乗って神戸に行ってきた。
9月からずっといつ行こうかいつ行こうかとやきもきしていたが
やっと念願が叶った。
新幹線で新神戸駅を訪れるのは何年ぶりだろうか。
いつもは近鉄で移動か新大阪で降りてあとは在来線で
神戸に帰ってきていた。う~む、新神戸駅懐かしい。



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地下鉄で三宮に移動。ここの駅前も懐かしいなぁ。
平日の午前にも関わらず活気があって非常によろしい。
街はにぎやかなのが一番。


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そう言えばルミナリエの時期だったなぁ。

・・・・・・
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by jpn2282 | 2012-12-14 23:58 | 展覧会 | Trackback | Comments(8)
”フェルメール 光の王国展”その2
階段で1フロア降りると、[手紙を書く婦人と召使]で描かれたあの部屋が
再現されていた。おぉ、こんな距離感でこの絵は描かれたのか。
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元の絵はこちら。
テーブルクロスの模様が少し違うが、まぁいいか。
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ここでも写真を撮りまくり。こんな楽しみがあっても良い。
絵描きさんのアトリエに入るなんて滅多に出来ない経験だ。う~む、楽しい。
モデルさんがいてくれたらなぁぁぁぁ。絵の再現が出来たのに。

そして福岡伸一博士による”ある仮説”セクション。英国王立協会で博士が発見した
アントニ・レーウェンフックの書簡に残されたミステリー。
これもレプリカがしっかりと展示されていた。好きな人にはたまらない。
実はこの素描、フェルメールが書いたのでは?という仮説。
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このフェルメールセンター、ぜひ近くに来て欲しい。そして常設して欲しい。
これまでに鑑賞できた絵が
地理学者
手紙を書く女
青衣の女
手紙を書く婦人と召使
真珠の首飾りの少女
合計5点。
秋には待ちに待った6点目。楽しみ。


PENTAX *ist D
DA 1:4 16-45mm
銀座フェルメールセンター
”フェルメール 光の王国展”にて
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by jpn2282 | 2012-08-30 23:58 | 展覧会 | Trackback | Comments(0)
”フェルメール 光の王国展”
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銀座に到着、ロンドンオリンピックメダリストのパレードの案内が。

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そしてたどり着いた。
フェルメール・センター銀座 ”フェルメール 光の王国展”
本物が1枚も展示されていないのは百も承知だった。
そしてここを訪れたいがために[真珠の耳飾りの少女]をあきらめた。
ここには絵描きさんの作品が re-create という技術で創作(?)され、実物と同寸法で、
また実際に絵が描かれたであろう順番に展示されている。


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こうして見ると、[絵画芸術]は大きい。
私の中では[真珠の耳飾りの少女]と並んで最高傑作。
う~む、もっと小さいと思っていた。こんなに大きな絵だったのか。
これもぜひ本物を見たい。ますます気に入った。


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[真珠の耳飾りの少女]もあった。先ほど上野で徒歩5分の距離まで
近づいたがまだ見ていない。必ず神戸に見に行くから。
いや、何回見に行こうか。しかし、背景の黒。本物はもっと複雑な色合いじゃないのか?

[真珠の首飾りの少女]も当然あった。つい先ほど本物を見てきた目に、
re-create の技術を用いて創造されたここの絵画がどう映るか興味があったが
案外すんなりと受け入れることが出来た。
当然油絵の具の厚さなどは再現できないから微妙な凹凸で表現している
部分は平面的になってしまうがこれはこれで良く出来ている。
初めて見る絵なら十分本物の雰囲気をつかむことが出来る。

天文学者と地理学者がすぐ近くに展示されているのも良かった。
音声ガイドによるとこの2点は対で描かれたとのことだったが
現実には対で並ぶことなど不可能だろう。こういった見方が出来るのはこのセンターの優位点。

そしてどんどん進み、晩年の絵に向かうに従い、タッチが変わってくる。
布のしわの表現、描き方がまるで異なる。なぜこうなってしまったのか謎だ。
借金取りに追われてじっくり描けなくなったのか?
どんどん老眼が進んで細部が見にくくなったのか?
絵描きさんの進化の方向がこちらだったのか?

複製品とはいえ一気に37枚!さすがに疲れた。
ストロボを点灯しなければ撮影も自由だし、来たかいは十二分にあった。
続く
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by jpn2282 | 2012-08-26 23:56 | 展覧会 | Trackback | Comments(8)